■知られざる歌舞伎座の名画

■山種美術館,2011.9.17-11.6
■(株)歌舞伎座や(株)松竹が所有している作品の展示会である。 劇場はもちろん会長室、貴賓室、楽屋などに飾られている絵、それに松竹大谷図書館の資料が展示されている。
芝居の切り口以外からも集めているのでテーマがバラけていて楽しい。 しかし楽しい理由は別にある。 画家は歌舞伎大好き、役者は絵が大好きという大好き同士の人間関係が表れているからだ。 だから会場は和やかで賑やかな雰囲気がある。
気に入った作品は鏑木清方の「さじき」。 この作品は芝居が好きになっていく途中の絵である。 画中の二人はまだ芝居の不思議さをどうしてよいのかわからない。
そして小林古径の「犬」はイヌ好きならひと目見てわかるはずだ。 速水御舟「花の傍」のイヌはオッパイが三つあるが古径のより劣る。 川合玉堂「早春漁村」の海の色は冷たくてブルッと来る。 歌舞伎ファンならいろいろ発見がある展示会だろう。