■表象とかたち-伊藤憙朔(きさく)と昭和の舞台美術-

■早稲田大学演劇博物館、2011.5.13-6.19
http://www.waseda.jp/enpaku/special/2011/itou_kisaku_omote.jpg
■副題は「伊藤憙朔(きさく)と昭和の舞台美術」。 水彩画のように淡白で写実的な絵が多いわ。 浮世絵を崩してそこに西洋近代のリアリズムを盛り込んだ感じね。 まさしく「歌うな、語れ。 踊るな、動け」の舞台に都合の良い絵よ。
「夜明け前」(1934年)や「女の一生」(1954年)の原画を見ていると、役者の動きや物語の邪魔をしていないというのがわかるの。 そして観客は舞台美術を意識の背景、つまり無意識として鑑賞できる。 そんな絵ね。 その時もちろん意識は物語で一杯よ。
この舞台美術からどのような芝居かを想像できるけど、場内ビデオはイェイツの「鷹の井戸」しか上映していなかった。 想像が正解か否か幾つかの芝居のビデオを数分でいいから上映して欲しかった。
ところで溝口健二の大好きな「山椒大夫」の映画美術を担当していたとは知らなかったわ。 あのうるさい監督の下で働いていたとは憙朔は芸術家と言うより職人ね。